【裁判例が語る安全衛生最新事情】第351回 (公財)後藤報恩会ほか事件① 勤務態度の注意に違法性認めず 名古屋地裁平成29年9月28日判決
2020.08.27
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
原告Xは、Y1法人が設置運営する美術館に学芸員として勤務していたが、人事担当Y2、経理担当Y3、および、美術館長Y4からパワハラを受けて退職を求められたという事案である。Y2とY3は、Y1法人の前代表理事の実子であり、Y4は前代表理事の実弟である。
原告Xは、平成26年12月11日の面接の結果、美術館の職員として採用され、平成27年4月1日から本件美術館での勤務を開始した。
Xの試用期間は、平成27年8月31日までであり、9月1日までには辞令が交付されるはずであったが、結局、Xが平成27年11月20日に退職するまで辞令が交付されることはなかった。
①平成27年10月14日にはY2から、②10月16日はY3からとY4から、③10月17日はY2から、④10月29日はY3から、⑤10月30日はY4から、それぞれ面談があり、その席で、勤務態度につき非難を受け、直接または間接的に退職を求められるというパワハラを受けたと主張した。
Xは、平成27年11月20日に退職届を提出して退職した。
Xは、Y2、Y3、Y4らのパワハラ行為によって、急性気管支炎、咳喘息、心因性咳嗽にり患して退職を余儀なくされたと主張して、Y1~Y4に対して損害賠償請求訴訟を提起した。…
執筆:弁護士 外井 浩志
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2020年9月1日第2361号 掲載