【事故防止 人の問題を考える】第92回 リスクを熟知する人を育てるには(有害物との接触)
2020.09.10
【安全スタッフ】
空気の流れのない空間を常に疑う
リスクを熟知した人を育てるため、今回は、有害物との接触を取り上げます。有害物による死亡災害は、密閉された空間に有害物が充満し、あるいは突然、その空間に有害物が噴き出し、それを吸い込んだ作業者が亡くなるというケースです。有害物とは、硫化水素、一酸化炭素(CO)、有機溶剤の他、酸素の少ない状態(酸欠)なども含みます。平成29年は11人もの方が亡くなりました。
本連載では、「空気の流れがない空間では、一酸化炭素などの有害化学物質などを常に疑ってかからなければならない」「それにより、過去に繰り返し発生した悲惨な死亡災害は、決して忘れず教訓にしなければならない」ことを重ねて伝えてきました。
しかしながら、平成29年も大勢の方が被災しました。何が原因なのでしょうか。死亡災害事例を振り返ります。
・硫化水素中毒の事例
硫化水素中毒は、下水道と温泉施設の典型的な死亡災害です。過去に数多くの硫化水素中毒による死亡災害が…
執筆:労働安全衛生総合研究所 安全研究領域長 高木 元也
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2020年9月15日第2362号 掲載