【新人担当者向け!!労働法ケーススタディ Part2】第10回 8時間未満でも割増賃金が必要? 法定時間内なら不必要 通常の賃金額で算定する/片山 雅也
2020.09.10
【労働新聞】
Q 当社では労働者に規定の制服の着用を義務付けています。制服の着替え時間を10分間として労働時間に上乗せしているのですが、1日の所定労働時間が6時間のアルバイト労働者から「10分間は時間外労働として割増賃金を支払うべきではないか」との声が上がりました。実労働時間が8時間未満であっても、所定労働時間を超えた部分には割増賃金を支払わなければならないのでしょうか。
指揮命令下か否か
労働基準法上の労働時間に該当するか否かは、使用者の指揮命令下に置かれていたと評価できるか否かにより客観的に定まる(最判平12・3・9労判778号8頁)。着替えについては、労務の提供といった債務の履行行為そのものではない。たとえば、冬場に通勤中着ていたコートを脱いで仕事をする場合、コートを脱ぐ時間は労務の提供ではなく、労務提供に至る準備行為に過ぎない。したがって、このようなコートを脱ぐ時間は労働時間とはいえないであろう。…
筆者:弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員・弁護士 片山 雅也
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令和2年9月14日第3272号10面 掲載