【人事学望見】第1259回 経歴詐称と懲戒解雇 学園から職場闘争に切り替えて
2020.10.01
【労働新聞】
学歴は高いほど良いということはないが、就職に当たって低く詐称することは何らかの意図があってのことだろう。現在でも独裁政権下などでの反政府運動の主役は学生だが、わが国でも学生運動が華やかな頃には、最終学歴を偽って現業職社員に応募することが行われた。
低学歴装い 現場作業員へ
Y社は、昭和55年当時、職安に中卒または高卒者を募集対象として、プレス工および旋盤工の申込みをしていた。この求人に応募してきて採用された社員をめぐる学歴詐称がトラブルになったのは、炭研精工事件(最一小判平3・9・19)である。
事件のあらまし
採用されたAは、まさに学生運動の闘士といえる経歴を抱えていた。昭和47年4月、福岡大に入学し、52年同大学を除籍中退していた。その間の戦歴は赫々たるものがある。
除籍の遠因となったのは成田空港反対闘争に関連した2件の刑事案件(公務執行妨害罪、凶器集合準備罪、傷害罪、航空法違反等)で公判継続中だった。刑事事件は、昭和56年7月および61年1月に有罪判決(懲役2年・執行猶予5年、懲役1年6月・執行猶予4年)が下され、確定している。
Aは、昭和58年3月6日、軽犯罪法違反で逮捕されたために欠勤し、…
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令和2年10月5日第3275号12面 掲載