【裁判例が語る安全衛生最新事情】第354回 ダイヤモンドほか事件 接客中飲酒強要で死亡し使用者責任 大阪地裁平成31年2月26日判決
2020.10.12
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
亡Aは、Y1社が経営しているホストクラブのホスト(死亡時21歳)であった。そのY1社の取締役には被告Y2、被告Y3、過去の取締役であった者としては被告Y4がいた。原告X1、X2は亡Aの両親である。
亡Aは、客であるMを接待していたが、他のホストで主任であったBや同僚のDから飲酒を強要され、焼酎の水割りやテキーラを何度も一気飲みさせられて、結局、焼酎1本、テキーラ1本を飲むことになり、ボックス席で嘔吐し、VIP室のトイレに移動したが、Dがトイレに追いかけるなどした。亡Aはボックス席に戻ったがさらに酒を飲まされて、ボックス席で寝てしまった。その後、亡Aは泡を吹いて倒れているのを発見され、救急車を呼んで病院に搬送されたが死亡した。
亡Aの両親であるX1、X2は、Y1社に対しては、主位的に使用者責任、予備的に債務不履行責任(安全配慮義務違反)により、取締役や下の取締役であったY2~Y4などに対しては、Y1社の取締役として従業員の安全配慮義務を怠ったとして、会社法429条1項に基づき、予備的には不法行為責任に基づき、損害賠償請求訴訟を起こした。
Ⅱ 判決の要旨
1、亡Aの死因
亡Aは、翌午前9時11分、アルコールの大量摂取による急性アルコール中毒により死亡し、…
執筆:弁護士 外井 浩志
この記事の全文は、安全スタッフの定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
この連載を見る:
2020年10月15日第2364号 掲載