【イラストで学ぶ身近なリスクと対策】第8回 酸欠など4つの災害
2020.10.27
【安全スタッフ】
1.はじめに
向寒の侯、穏やかな小春日和が続く季節になりました。9月1日号に「酸素欠乏症」、10月1日号に「硫化水素中毒」をテーマにしたので、今回はまとめとして、酸素欠乏症・硫化水素中毒(以下「酸欠等」という)の災害4事例を示します。
2.酸素欠乏症の災害2事例
災害1 船倉内歩くうち倒れる(イラストA)
〔発生状況〕南半球から貨物船で運搬してきた穀物の状況を確認するため、協力会社の職長Aと作業者Bはハッチを開き、ロープはしごを船倉内に入れて、酸素・硫化水素の濃度測定をしないで船倉内に入った。2人は穀物の上を、意識がもうろうとしながら歩いているうちに倒れた。事務所では、2人がなかなか戻らないので、上司が様子を見にいったら船倉内で倒れていた。事業会社に連絡したが、「自衛の救助方法」を知らないので消防署に連絡、1時間後にレスキュー隊が到着。打合せ後、隊員2人は空気呼吸器を着用し、バスケット式担架を船倉内に入れ、一人ずつ担架内に包み込み救助用巻上機で救出。2人の救出に2時間を要した。酸素濃度は12%程度だったので、「2人はチアノーゼ」で一命は取り留めた。…
執筆:中野労働安全コンサルタント事務所 所長 中災防安全衛生エキスパート 中野 洋一
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2020年11月1日第2365号 掲載