【元監督官が明かす!!送検・監督のリスク管理 事例徹底分析】第4回 違法残業③~36協定の運用~ 適用回数で立件も 延長時間以外に留意を/西脇 巧

2020.10.22 【労働新聞】
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過労死発生事案などは厳正対処

 労働基準監督署(以下「労基署)」)が違法残業で送検する事例は、時間外・休日労働に関する労使協定(36協定)の限度時間(特別条項の延長時間=延長時間)を超えて、時間外労働させている場合によるものが多い。もっとも、それ以外でも、表1のように36協定の運用が適切になされていないため法令違反となり、送検されている事例が複数見受けられる。

表1 送検事例

【事例Ⅰ】
 温泉宿泊業を営む法人および取締役総務部長が、従業員1人に対し、36協定の原則的な限度時間である1カ月42時間を超えて時間外労働をさせたもの。届出をした36協定には1カ月100時間を上限とする特別条項が盛り込まれていたが、特別条項を適用するための労使手続き(労使協議)がされておらず同条項の適用外と判断された。

【事例Ⅱ】
 部品製造販売業を営む法人および専務取締役が、従業員6人に対し、36協定を届け出ずに時間外労働をさせ、また36協定を届け出た後も、特別条項で定めた適用回数(6回)を超えて時間外労働させたもの。

 事例Ⅰ・Ⅱは、…

筆者:TMI総合法律事務所 弁護士 西脇 巧

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令和2年10月26日第3278号11面 掲載
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