【人事学望見】第1262回 営業秘密漏洩と懲戒 就規罰則規定が絶対的に必要!
2020.10.22
【労働新聞】
労働者は、労働契約を締結することにより、労働契約上の付随義務として誠実勤務義務を負うが、使用者の秘密を保持する義務もその1つである。ほとんどの企業で、労働者に対し秘密保持義務を就業規則に明示しており、違反した場合は解雇その他の懲戒処分を受ける。
取引先社長の誘惑に負け
美濃窯業事件(名古屋地判昭61・9・29)では、「就業規則に業務上の機密を漏洩しないこと等の規定があった事情の下で、雇用契約存続中、労働者は、使用者に対し会社の不利益になる事項および業務上の機密を漏洩してはならない義務を負う」とし、「機密漏洩について労働者の債務不履行および不法行為が成立する」とこのことを確認している。
事件のあらまし
Y社は、耐火煉瓦等の製造販売および国内外において各種窯業プラントの設計・築炉等を業としている。Y社プラント部課長にあったA1は、昭和44年、台湾出張の際に懇意となった取引先会社のB社長の求めに応じ、Y社の商品である窯業用連続焼成炉を設計し、現地に赴き指導、助言などを行い、さらにA2会社をBに紹介して必要な機材の輸出に協力し、A2から紹介料を受けるなどした。Y社は、A1およびA2の行為により損害を受けたとして賠償を請求した。…
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令和2年10月26日第3278号12面 掲載