【働き方が変わる雇用保険法等改正法】第16回 マルチジョブホルダー 非正規労働者が半数弱 キャリア形成目的は少数/阿部 正浩
2020.10.29
【労働新聞】
政府は創業活性化を狙う
「労働者の健康確保に留意しつつ、原則副業・兼業を認める方向で、副業・兼業の普及促進を図る」。2017年3月に取りまとめられた「働き方改革実行計画」で掲げられた目標の一つである。平成30年1月には副業・兼業についてのガイドラインが厚生労働省によって作成され、今年9月には改正されたことは記憶に新しい。
政府が副業・兼業の普及促進の旗を振る理由の一つは、それが労働者の自律的なキャリア形成や創業・新事業創出につながると考えられるからだ。たとえば2017年3月に中小企業庁でまとめられた「兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する調査事業研究会提言」によれば、「(前略)、創業促進の観点からみると、兼業・副業の促進によって潜在的創業者が増大し、(中略)『創業を考える人そのものが少ない』という日本の課題解決に大きく貢献する可能性があると考えられる」とされている。
では、副業・兼業の実態はどのようになっているのだろうか。
不十分な「安全網」が問題
図は、…
筆者:中央大学経済学部 教授 阿部 正浩
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令和2年11月2日第3279号6面 掲載