【元監督官が明かす!!送検・監督のリスク管理 事例徹底分析】第5回 違法残業④~労働時間管理~ 事業場通算し処分 副業先の勤務実態把握を/西脇 巧
勤怠管理者には定期教育を実施
労働時間の把握が適正になされていない場合には、いわゆるサービス残業の問題が生じ、労働基準監督署(以下「労基署」)から行政指導を受けて割増賃金の遡及清算を求められたり、悪質な場合には司法事件として送検されることがある。もっとも、これに限らず、表1のように、労働時間の管理の問題に起因して違法残業として送検されている事例が複数見受けられる。
表1 送検事例
【事例Ⅰ】 輸送用機械器具製造業を営む法人および代表取締役が、従業員1人に対し、有効な36協定がないまま、法定労働時間を超えて時間外労働を行わせたもの。長時間労働を隠蔽するため、繁忙期に生じた時間外・休日労働分の割増賃金をいったんプールし、別の月に調整して支払っていた。結果として割増賃金は全額支払われている状態だったため、未払い賃金については立件されていない(従業員による刑事告訴が捜査の端緒)。 【事例Ⅱ】 貨物自動車運送事業を営むA社とB社および両社の代表取締役らが送検されたもの。従業員1人に対し、A社で働かせた後にB社で働かせていたところ、A社では36協定の限度を超えて、また、B社では36協定の締結・届出なく時間外労働を行わせていた。B社の時間外労働の算定は、労働基準法38条の労働時間の通算規定が適用された(従業員による行政措置の申告が捜査の端緒)。 |
事例Ⅰは、従業員過半数代表者が…
筆者:TMI総合法律事務所 弁護士 西脇 巧
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