【新型コロナを乗り切る!産業保健と働き方改革】第19回 長時間労働対策① 心身の健康に悪影響 法的責任は年々高まる/野原 伸展
2020.11.12
【労働新聞】
疾患のリスクが増加
今回から2回にわたり、長時間労働の健康への影響と、事業場に求められる長時間労働対策、労務管理について取り上げる。
近年、長時間労働が心身の健康に悪影響を与えることが広く知られるようになり、労働時間削減が職場の安全衛生活動の主要なトピックスとなっている。これに関連し、2019年4月からは70年ぶりの労働法の大改正である働き方改革関連法が順次施行され、時間外労働の上限規制や年次有給休暇取得の義務化が始まっている。
長時間労働の明確な定義はないが、一応の目安として、労働基準法の定める基準である「法定外労働時間が月45時間以上」というものがある。これは残業時間と心身の健康リスクに関する過去の研究結果が根拠となっているが、その根拠について新しい知見も増えてきている。
たとえば、脳卒中の発症リスクについて、2015年に海外で発表された約60万人を評価対象としたシステマティックレビュー(複数の研究を一定の基準・方法に基づきとりまとめた総説)では、労働時間が週55時間以上となると、週35~40時間と比較して、脳卒中の発症リスクは1.33倍に上昇することが明らかになった(図1)。…
筆者:産業医事務所 セントラルメディカルサポート 産業医 野原 伸展
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令和2年11月16日第3281号13面 掲載