【人事学望見】第1265回 救いようのない指示・命令違反 出勤3分の1通勤費を二重取り
上長からの業務命令違反には、命じられた作業を行わない、命じられた段取りに従わない、命じられた作業を行わないなどのほか、時間外労働命令、配転命令、出向命令に従わないなどもこれに該当し、就業規則に規定されていると懲戒事由になる。
出世コース棒に振る凶行
管理職でも無断で行動すれば諭旨退職に付されることがある。東京電力事件(東京地判平21・11・17)は、わが国を代表するようなビッグビジネスの出世コースを踏み外したもったいない話である。
事件のあらまし
Aは、昭和59年4月にY社に採用され、平成17年7月から同20年3月までS研究所に出向して勤務を続けた。
AはSから定期券の現物支給を受けていたが、Y社は、Aに重複して通勤交通費を支給し続けた。Aは、平成20年4月、Y社の技術開発研究所に異動となり、経済動向調査を担当し、特別管理職に任じられていた。
Aが本件研究所に所属していた全所定勤務日152日のうち、7時間以上在社したのはわずか2日間のみ、まったく出社しなかった日は48日間、それ以外は半日程度の在社という状況であって、休暇を除く全勤務日数146日のうち出勤しなかった日数だけでも約3分の1に達した。Y社がAに対し社外勤務を命じたことはなく、このような労務提供態様を許容ないし黙認した事実もなく、継続的に問題の指摘ないし改善指示がなされてきたが、Aは業務指示を合理的な理由なく拒否したうえ、懲戒処分にも従わないなど反省の態度はまったくみられず、今後指導を重ねても改善可能性は認められないとの結論に達し、平成20年11月12日付で諭旨解雇処分を発令した。…
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