【裁判例が語る安全衛生最新事情】第357回 浅口市事件 労務参加での被災に使用者責任 岡山地裁倉敷支部平成30年10月31日判決
Ⅰ 事件の概要
被告Y市は地方公共団体であり、M公園を管理していた。原告X1はY市と労務参加契約を締結し、M公園内での樹木の伐採作業に従事していた。原告X2はX1の妻、原告X3はX1の子であった。
Y市は、昭和56年ころにM公園を整備し、昭和60年ころからM公園を維持管理してきた。M公園の維持管理は、地元と協議するなかで、地元地区から公園の維持管理に関わりたいとの意向があったことから、平成18年以前から、地元地区が推薦した作業員に清掃や草刈、伐採などの作業を依頼するようになった。参加する場合の条件は、1日7時間45分、報酬は1日当たり6550円とすることと決められていた。
Y市は、総合支所産業建設課A課長、同課主任Bと、M公園の管理人であったCが関係者とされていたが、Cは、木の植栽、伐採などの技能を有しており、M公園を巡回して、公園の維持管理を行っていた。BはCに対して安全に気をつけてほしい、ある地域を重点的に清掃してほしいなどの大まかな指示を出したが、公園の維持管理に具体的な指示を出すことはなかった。補助参加人であるZは、X1と同じく労務参加契約を結んだ作業員であったが、Zが伐採した伐木がX1の頭部に衝突し、X1は頭蓋骨骨折、外傷性くも膜下出血などの傷害を受け、労働基準監督署からX1は高次脳機能障害、下肢の神経症状、顔面の醜状の障害が残っているということで後遺障害等級6級の認定を受けた。
原告X1~X3は、被告Yに安全配慮義務違反、使用者責任による損害賠償請求訴訟を起こした。同僚の加害者Zは、Y市のために補助参加人として訴訟参加した。…
執筆:弁護士 外井 浩志
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