【裁判例が語る安全衛生最新事情】第358回 フルカワ等事件 過労による脳梗塞で9000万超賠償 福岡地裁平成30年11月30日判決
2020.12.10
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
被告Y1社は、新車、中古車の卸小売販売などを目的とする株式会社である。社員は25人ほどである。被告Y2はその代表取締役社長である。Y1社は、総務部などを中心とする鹿児島市にある本店のほか、複数の会社が自動車展示を行う鹿児島市にある合同自動車展示場内において、自動車の販売やロードサービス事業を行っていた。
原告Xは、平成11年12月にY1社に雇用され、約1年後に店舗の店長となり、さらには平成12年12月に監査役、平成13年11月取締役となったが、平成16年12月には取締役を退任した。その後、店舗の店長として勤務していた。
Xは、平成21年4月5日、脳梗塞となり救急搬送され、結局、障害は残存しており、平成26年4月労働基準監督署より障害補償年金と介護補償が支給されている。その発症の原因は、Y1社における長時間労働であると認定された。なお、Y1社は、タイムカードによる労働時間管理を行っておらず、従業員は、毎日、日誌に当日の業務内容をつけることになっていた。
Xは、Y1社に対して安全配慮義務違反に基づき、Y2に対して会社法429条1項に基づき損害賠償請求訴訟を提起した。…
執筆:弁護士 外井 浩志
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2020年12月15日第2368号 掲載