【働き方が変わる雇用保険法等改正法】第22回 弾力条項の見直し 育休給付などを除外に 景気変動受けない給付も/阿部 正浩
2020.12.10
【労働新聞】
法改正経ず保険料率変更
今回の改正では、失業給付に係る保険料率を0.2%引き下げて0.6%とされたことを前回紹介したが、加えて弾力条項についての見直しもあった。
弾力条項は、雇用保険の財政状況に応じて一定の要件を満たす場合に、法律改正をせずとも、厚生労働大臣が労働政策審議会の意見を聴取して保険料率を変更できることをいう。これが規定されているのは、予想以上の大量失業が発生して雇用保険財政が危機に直面した場合に、法律改正をして保険料率を変更していては時間が掛かってしまい、非効率的であるからだ。ただし、保険料率を行政が恣意的に変更することができないよう、あらかじめ料率改定の基準と範囲が法律で定められている。
改正前の失業等給付に関する弾力条項は、会計年度ごとに保険料収入と国庫負担の合計から失業等給付費等を差し引いた額に年度末の積立金残高を加え、これを失業等給付費等で割り算し、その値が2よりも大きい場合には本則の保険料率より0.4%まで引下げ可能とし、その値が1よりも小さい場合には同様に0.4%まで引上げ可能としていた。
二事業は引下げ幅拡大へ
今回の改正では、…
筆者:中央大学経済学部 教授 阿部 正浩
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
この連載を見る:
令和2年12月21日第3285号6面 掲載