【元監督官が明かす!!送検・監督のリスク管理 事例徹底分析】第11回 賃金未払い③ 固定残業代に要注意 超過分の遡及払い請求で/西脇 巧
名ばかり管理職でも司法処分例
今回は、固定残業代制度や管理監督者の取扱いによって残業代未払いが問題となった事例を取り上げる。
表1の事例Ⅰは、会社が一定時間の時間外・休日労働に対する割増賃金を毎月定額として支払う、いわゆる「固定残業代」を採用していたが、定額分を超える割増賃金を支払っていなかった事案である。固定残業代に関係して司法事件となる事案は、固定残業代超過分について立件されるのが通常であろうと思う。
表1 送検事例
【事例Ⅰ】 【事例Ⅱ】 |
というのも、たとえ法律上固定残業代の要件を充たさないとしても、実行行為者である賃金支払い主体が固定残業代で時間外労働などに対する残業代がカバーされているとの認識を持っているとすれば、少なくともその部分については、未払いの認識(故意)があったと立証することは容易ではないからである。…
筆者:TMI総合法律事務所 弁護士 西脇 巧
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