【若手社員をやる気にする!退職金・企業年金の再編】第1回 他社はいくら払っている? 制度見直し時期が到来 8割は退職時に金額知る/山崎 俊輔

2021.01.07 【労働新聞】
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労働者はほぼ無関心

企業年金コンサルタント 山崎 俊輔 氏

 2019年に「老後に2000万円」というキーワードが話題となった。公的年金は日常生活費を終身まかなう力はあるものの、老後のゆとりを支える部分は自分で備える必要があるというものである(年金破たんの話と誤解している人が多いようだが)。

 「老後に2000万円」は本連載のテーマである退職金・企業年金を抜きに語ることはできない。会社員の老後の備えの中心となっているのは定年退職時に受け取るまとまったお金、つまり退職金・企業年金だからだ。実は退職金からもらえるお金は、この2000万円に含めて数えて良いものである。しかし、ほとんどの社員は、貴重な老後の軍資金がいくらくらいもらえるものなのか、どのように準備されているかに無関心だ。

 「老後に2000万円」の元ネタとなった金融庁のレポートには、会社員が退職金額をいつ知ったかという調査データも紹介されている。8割方の社員は、退職直前まで金額を知らずに働き続けているという驚くべき数字だった。

 これでは「老後のゆとりを計画的にデザインする」というレベルには到達していない。退職時にもらった金額をみて初めて、自分はどのくらいのレベルの老後生活を送れるかを知り、そこに自分の生活水準を合わせるという、受け身のセカンドライフを過ごしているということだ。

 これを、愚かな社員だと笑っていて良いのだろうか。同じ問題を会社の目線で捉え直すと、「会社がどんなにたくさんの退職金を払ってあげても、現役社員はそれを愛社精神や働きがいにつなげていない」ということでもあるからだ。これはコストとして考えればとてももったいないことである。本連載のねらいのひとつは「退職金・企業年金を、今働いている社員の喜びややる気につなげる制度に変えていく」ことにある。

 そもそも退職金・企業年金制度を実施している企業の割合はどのくらいなのだろうか。

筆者:企業年金コンサルタント 山崎 俊輔

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令和3年1月11日第3288号13面 掲載
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