『髙井伸夫弁護士の愚考閑話録』の連載記事

2016.12.26 【労働新聞】
【髙井伸夫弁護士の愚考閑話録】最終回 資本主義からの脱皮の第一歩(下) 倫理・道徳を大切に 公正な企業活動実施へ

 「経済」という言葉は、中国の古典にある「経世済民」(世を経〔おさ〕め、民の苦しみを済〔すく〕う)に由来することは、よく知られている。然るに現実はどうか?資本主義経済の下、過度な自由競争によって生じた如何ともし難い格差問題が、世界に蔓延している。格差を緩和するには、国民全体が平等・博愛・共助の精神によって助け合うしかないのであり、その一例……[続きを読む]

2016.11.28 【労働新聞】
【髙井伸夫弁護士の愚考閑話録】第23回 資本主義からの脱皮の第一歩(上) 最低所得保障がカギ 国の支出見直し財源捻出

 本連載は残り2回となった。人事・労務問題を専門とする立場から些か企業の実情を知る者として、仕事が生活の糧を得るためだけの手段ではなく、自分らしさを発揮できる生きがいであってほしいという願いを込めて書いてきたが、昨今の社会情勢をみると、私たちは従来の思考方法が通用しない歴史の転換点にいると思わざるを得ない。 世界も日本も経済は縮小均衡状態……[続きを読む]

2016.10.31 【労働新聞】
【髙井伸夫弁護士の愚考閑話録】第22回 内部通報のあり方 社内窓口の役割重要 不正未然防止が課題に

 “blow the whistle”(警笛を吹く)とは、内部告発をするという意味で用いられることがあるという。2000年頃より国民生活の安全を脅かすような企業不祥事が内部からの通報を契機として相次いで明らかになったわが国では、06年4月1日に公益通報者保護法が施行され、公益通報が企業・組織におけるコンプライアンスの一翼を担う制度と位置付……[続きを読む]

2016.09.26 【労働新聞】
【髙井伸夫弁護士の愚考閑話録】第21回 働き方改革(2) 新しい成長主義 質・内容の向上図れ “匠の精神”を重視し

 私は、人事・労務問題を専門とする弁護士として様ざまな経営者の方々と半世紀以上お付き合いをしてきた実感から、アベノミクスの繰り出す政策に違和感を抱き続けている。最近では、担当大臣まで新設した働き方改革だが、長時間労働を是正するとしても画一的に時間の長さにのみ着目することに合理性はあるのか。安倍首相は「働き方改革実現推進室」の開所式で、「モ……[続きを読む]

2016.08.29 【労働新聞】
【髙井伸夫弁護士の愚考閑話録】第20回 働き方改革(1) 誰のために働くか 個人の生き方を尊重 画一的雇用は魅力欠く

 東京帝国大学において、1920(大正9)年に日本で初めての労働法の講義をされた末弘厳太郎(すえひろ・いずたろう)博士は、1947(昭和22)年、労働組合関係者、使用者側の者、学生等を対象とした労働法ゼミナールという講話をされ、速記録をもとにした本を出された。私は10年ほど前になじみの本郷の古書店でこれを入手したが、内容は濃く、活字もしっ……[続きを読む]

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