作業標準書の作り方、生かし方/町田安全衛生リサーチ 代表 村木 宏吉
拙著「新人・文系管理者のための安全衛生管理基礎のキソ」(弊社刊)は、6年前に刊行され、おかげさまでそれなりに販売されてきております。ありがとうございます。
その中に、10ページあまりにわたり、「そのとおり実行するだけでよい作業ならば誰でもできる ~作業標準(作業手順書)とは仕事のマニュアル化である~」を書かせていただきました。
ここ数年、労働基準監督署が事業場に立入調査(臨検監督)に入った場合、必ず「作業標準はできていますか」あるいは「作業手順書はありますか」と質問します。筆者が昨年度と今年度に担当した安全管理特別指導事業場(通称「安特」)の3社では、すべてこの質問を受けました。
なぜ質問されるのか。それは、事業場としての安全管理の取組課題について自主的に取り組んでいるかどうかを示しているからであり、その確認のためです。
作業標準を会社として作成している、特に文書として作業手順書が残されているということは、当該事業場あるいは企業が、安全管理を進めるための具体的な取組みをしていることを示しています。と同時に、作業手順書を元にリスクアセスメントを進めることが容易になりますから、労働基準監督官は次の質問として「リスクアセスメントは実施していますか」と必ず質問してきます。
「実施しております」との答えを受けて、労働基準監督官は「では、その記録を見せてください」と言うはずです。
本稿では、労働基準監督署が重点としている作業標準あるいは作業手順書について、あらためてその作成のポイントと注意点と活用方法を述べてまいります。
目次
1 そのとおり実行するだけでよい作業ならば誰でもできる
2 作業標準(作業手順書)とは作業のマニュアル化である
3 作業手順を細かく書き出していくとリスクアセスメントがやりやすい
4 その作業のキモ、注意点などを記載する
5 作業手順書は、いわば将棋や囲碁の定跡である
6 作業手順書は、ベテランの仕事を後輩に伝えるものでもある
執筆:町田安全衛生リサーチ 代表 村木 宏吉