データから読み解く 現代のメンタルヘルス対策の傾向/山越 薫
企業において、産業競争力を高めるために何より大切なのはその組織をつくりあげる人財を大切にし、一人ひとりの力を最大限発揮できる状態にすることに他なりません。一人ひとりが健康で幸せに楽しく、組織の成長のために貢献できる状態であれば、結果はついてくるものです。逆に社員一人ひとりが疲弊しきってしまえば例え今は業績が良くても、その良い状態は継続されません。
社員が健康にパフォーマンスを出し続けられるより良い職場環境をつくり上げ、持続させるためにも、まず、現状を把握することは大切な一歩です。ここでは、働く人の健康という視点から組織を見つめるポイントについて、さまざまなデータからひもといていきます。
平成26年に労働安全衛生法が改正されたことにより、50人以上の事業場では従業員へのストレスチェックが義務化されました。2年目のストレスチェックを終え、個人の結果のみではなく、集団結果を分析することでさまざまなメンタルヘルス対策の課題を分析した企業も多いでしょう。無事に法律どおりにストレスチェックは終えたけれども…私どもが組織にコンサルテーションにおうかがいして耳にすることが多いのは、「他社ではどのような結果が出ているのか、どんな対策をしている?」「結果は出たけれども、その対策は何が正解なのか?」という企業の声です。
そこで、本稿では、まず平成29年およびここ数年の間で発表されたさまざまな調査結果をご紹介し、そのデータから読み取れる現在の日本のメンタルヘルス対策の傾向をお伝えしていきたく思います。次に、自組織での情報の収集のポイント、そしてデータを基に現場で課題を解決するヒントについてお伝えしていきます。ぜひ、皆様が組織の今を見ること、そこからさらにより良い環境づくりをするきっかけにして頂ければ幸いです。…
執筆:ランスタッド㈱ EAP総研 シニアコンサルタント 山越 薫