労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2024.08.29 【判決日:2023.10.22】
医療法人社団Bテラス事件(東京高判令5・10・22) 休憩室を秘密録音、陰口言った院長へ賠償請求 揶揄する会話が不法行為に
ジャンル:
  • 労働契約上の権利義務
  • 損害賠償

 職員の歯科医師が控室を秘密裏に録音したところ、院長らに揶揄されていたことから、不法行為に当たる等として損害賠償を求めた事案の控訴審。東京高裁は、院長の地位や立場を考慮すると名誉を毀損し侮辱する内容の会話に興じることは就業環境を害するとして、一審判決を変更して慰謝料の支払いを命じた。秘密録音は、著しく反社会的な手段とはいえないとして証拠能……[続きを読む]

2024.08.22 【判決日:2023.12.22】
日本郵便事件(神戸地判令5・12・22) 郵便局員が制服着る時間は“労働”と残業代請求 更衣室で着替える義務あり
ジャンル:
  • 労働時間
  • 着替え

 郵便局員が、制服の着替えに要する時間に割増賃金を求めた訴訟で、神戸地裁は、勤務中の制服着用および更衣室での着替えが義務付けられていたと判断。更衣時間は指揮監督命令下に置かれ労働時間と認定した。会社の研修教材には制服を着用しての通勤を禁止する記載があり、多くの従業員もこれに従っていたことなどから、会社は制服通勤を許容していたわけではないと……[続きを読む]

2024.08.08 【判決日:2023.05.29】
カーニバル・ジャパン事件(東京地判令5・5・29)コロナ禍で人員削減、整理解雇は認められるか 希望退職募集なくても有効
ジャンル:
  • 整理解雇
  • 解雇

 新型コロナウイルスの影響でクルーズ船が運航できず人員削減が必要になり、会社が退職勧奨に合意しなかった7人を解雇した事案。東京地裁は、整理解雇としたうえで、希望退職者を募集しなかったことをもって解雇回避努力が不十分とはいえないとした。部門で枢要な人員が退職するおそれがあるとした。雇調金を受給しても人件費5割減の目標を達成できる状況ではなか……[続きを読む]

2024.08.01 【判決日:2024.03.22】
宮田自動車商会事件(札幌高判令6・3・22) 退職願撤回したら懲戒解雇され地位確認求める “周知”否定した一審を覆す
ジャンル:
  • 周知・効力
  • 就業規則
  • 退職
  • 退職願

 退職願を撤回したため退職合意は成立せず、その後の懲戒解雇も無効として、元従業員が地位確認等を求めた事案の控訴審。所長の机の引出しに保管されていた就業規則は周知の要件を欠き、処分無効とした一審に対して、札幌高裁は、閲覧したいと思えば確認できる状態だったが処分は重すぎるとした。退職の合意はいったん成立したが、解雇により会社が承諾を撤回したと……[続きを読む]

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